同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金の問題があります。そこで、
「正社員と契約社員の給料の差額は問題か?」を取り上げてみよう。
特に、正社員と契約社員の給与の差がある場合、「違法となるのか?」という相談も多いです。
これに関する判例もあります。
<ハマキョウレックス事件 大津地裁 平成27年9月16日>
契約社員はドライバーとして働いていたが、正社員との給与の相違があることに気が付いた。
契約社員はドライバーという「同一業務」なのに給与に差があるのは違法として、裁判所に訴えました。
基本給:正社員は月給、契約社員は時給
無事故手当:正社員は1万円、契約社員は支給なし
作業手当:正社員は1万円、契約社員は支給なし
家族手当:正社員はあり、契約社員はなし
通勤手当:正社員は市内5,000円、契約社員は市内3,000円
賞与、退職金:正社員はあり、契約社員はなし
裁判結果は、
・正社員のドライバーと契約社員のドライバーの業務内容自体に大きな違いはない。
・正社員は管理責任者として登用される可能性があるが、契約社員は登用の可能性はない。
・正社員は就業の場所や出向等があるが、契約社員はない。
・人事制度上の施策として、正社員と契約社員の給与の差について、問題はない。
ただし、通勤手当は交通費の実費弁済の意味があるので、この差は不合理として違法
この裁判を詳しくみると、正社員、契約社員の「業務内容に違いはない」ことが前提です。
しかし、異動や管理責任者への登用の可能性などの人材活用の仕組みが異なることから、無事故手当や作業手当などに相違があっても、問題はないと判断している。
ただし、人材活用の仕組みと関係ない通勤手当については、違法と判断しているのです。
通達では「給食手当のように職務内容や人材活用の仕組みとは直接かかわりがない手当に相違があることは、合理的ではない。」としています。
このように正社員、契約社員の給与の差異は、基本給だけでなく、各種手当等の性質も裁判では検討されるのです。
今回の裁判でも、正社員と契約社員の業務そのものの違いはありませんでしたが、今後の人材活用として、どのような責任の中で仕事をしていくのかの違いが明確となっていることに注意した方がいい。